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Hazelnut latte

with a tsp of honey

タイバニのファン層とラブライブ!のファン層

※いちタイバニファンの視点より。

タイバニが取りこぼしたファン層って、ラブライブのファン層と重なるんじゃないかなって話。

NHKの企画「ニッポンアニメ100」でタイバニが一位取ったら「組織票乙」とか言われてるらしくてマジ草なんだけど、ぶっちゃけ「タイバニ(アニメ)」と「タイバニ(ビギニング)」と「タイバニ(ライジング)」が「タイバニ」に一本化されて、ラブライブも「ラブライブ(1期)」と「ラブライブ(2期)」と「ラブライブ(TSIM)」と「ラブライブ(サンシャイン)」に分かれてなくて「ラブライブ」一本で投票してたらどっちが1位だったか分からんな、と思った。つか女性ベスト123と男性ベスト234の間に割って入ったまどマギすごいな。今度観よ。

ラブライブのファン層は厚いし、タイバニのファン層も厚い。

もし1位2位がラブライブ、3位にまどマギ、4位5位にタイバニがランクインしたとしても、おお、やっぱりラブライブは人気なんだな、程度にしか思わないだろう。ちゃんと毎日投票するなんてラブライブファンは熱意がすごいな、1位取るために努力してるんだな、と。

まーそのへんのことはとりま脇に置いといて、ざっくり思ったことをつらつらと。

タイバニが受けるのって「抑圧された自己肯定感やプライドの復権*1、ってテーマが琴線に触れるタイプの人だと思うんですけど、抑圧されてるって感じてない人とか、抑圧された状態に反発するほど自己肯定感やプライドがない(orそんな元気がない人)には受けないんだろうなーっていう。

タイバニのそもそものターゲット層がオッサン・おじさん世代で、10代~20代・30代前半の若い男性は入ってない。*2当初のターゲットから外れた女性*3は、男性じゃないからこそタイバニを楽しめてると言えるのではないかしらん。

キースはなんだかんだ勝ち組だし*4、イワンは感情移入できるほど成人男性らしい外見ではないし*5、仮に20代だったとしても超絶イケメンだし、じゃあ肝心の20代代表はっていうと、バニーちゃん*6とライアンだし*7、現実の日本人の若い男性が心置きなく感情移入できる要素、案外少ないんじゃないか? って気がするのよね。

んで、タイバニが取りこぼしてるファン層というか視聴者層って、ラブライブ!のファン層とほぼ被ってるんじゃないか? っていう。

 

・追記

書いてて気が付いたんだけど、イワンが努力してる姿の描写ってかなり露骨というか、虎徹さんよりよっぽど努力してるんだけど、かなり初期の段階で「努力が報われなくてつらい」って状況から解放されちゃうから、あんまり参考にならないんだよね。

イワンは「僕よりエドワードみたいな戦闘向きの能力者の方がヒーローに向いてるのに」って劣等感と「エドワードを裏切った」って罪悪感を根拠に「やっぱり僕じゃヒーローなんて無理なんだ」ってウジウジしてただけで、ランキングが最下位であることが原因で悩んでたわけじゃない。*8しかも、エドワードと仲直りしたらヒーローランキングも上がるようになったわけで、かなり順風満帆に努力が報われている。視聴者の方でもイワンが努力してるのは知ってるから、折紙サイクロンの成績が上がったところで「当然でしょ?」と思わざるを得ない。ただ、虎徹さんのように、なかなか努力を認めてもらえなくて悪戦苦闘して、でも最後の最後で認められた、やったぜ! って感動がないから、とくに感慨も湧かない。堅実に努力を重ねて、着々と成績を伸ばすキャラになった結果、キャラクターとしてはちょっと面白みに欠ける立場に追いやられてしまったのではないか、と、イワン君について考えてたら思ったんだけど、私が20代男子だったとしてタイバニを観るか? って聞かれたら、ちょっとよく分からない。バニーちゃんにもライアンにもイワンにもキースにも感情移入できないな、という意味ではたぶん観ない。こんな勝ち組のイケメン集団の話観て何が楽しいんだ、っていうのもあるけど、一番の理由は、自分がいかに努力していないかを真正面から突きつけられる感じがして居心地が悪くなるんじゃないかな、と思うから。

タイバニはなんだかんだ、努力をしてる勝ち組が更に研鑽を重ねて栄光を掴み取る話なので、毎日怠惰に暮らしてる自分が報われないのは当たり前だなーだって努力してないものね、と思ってしまう。

で、ここがたぶん、タイバニとラブライブとの大きな違いだと思うんだけど、ラブライブが顔出しアイドルなのに対して、タイバニのヒーローは基本的に覆面ヒーローなんだよね。だから、最初から顔面偏差値の高い同性の女子が顔面偏差値の高さを売りにしつつアイドルとして奮闘してても、とくに劣等感は感じない。だって私可愛くないし。可愛いアイドルの女の子がアイドルとして努力するのは当たり前だけど(仕事だし)、私はアイドルじゃないもの。

でも、タイバニのヒーローって顔隠してるじゃん。バニーちゃんみたいに顔出したところで、顔面偏差値って犯人確保と救助ポイントには関係ないじゃん? ってことはさ、いかに日頃から筋トレして、訓練して、鍛錬して、努力してるかが大事ってことじゃん。たしかにタイバニキャラの顔面偏差値は高いんだけど、彼らのヒーロー業務には、顔面偏差値って一切関係ないんだよね。ってことはさ、ほぼ完全な「能力主義」「成果主義」って事じゃん。いかに自分を律することができるのかって人間性が仕事の成果に直結してて、かつ仕事の成果のみで評価されてるといっても過言ではないわけじゃん。

そういう世界って、超過酷だよね。っていう。

で、冒頭に書いた「女性は女性だからこそタイバニを楽しめるのはないか」って話に戻るんだけど、女ってだけで「大学に行く必要はない」とか言われたり、女ってだけで通常業務の他にお茶汲みやら掃除やらをさせられたり、女ってだけで自分の仕事を諦めて結婚相手の赴任先に同行させられたりすることがある性別の人間からするとですね、タイバニの能力主義的な世界ってユートピアに近い。「努力すれば報われる」「実力のある人間は報われる」って神話が機能してるタイバニの世界観は、現実だったら良いのに、って世界観を提供している。

反対に、ラブライブはアイドルとしての実力以外にも、外見の良し悪しが重要になる。極端な話、どんなに歌や踊りがうまくても不細工はアイドルになれないが、ものすごく美人なら多少歌や踊りが苦手でもアイドルになれる。多少下手でも、むしろ下手なところが可愛いと言ってもらえる。*9 だから、ラブライブのキャラクターにコンプレックスは感じない。アイドル並みの容姿も持っていない時点で、私はラブライブの彼女たちと同じ土俵に立っていない。むしろ、アイドル活動するような可愛い女の子しか社会的に評価されないんだなーって世界観がキツイ。学校の広報担当としてアイドル活動して、入学者数の増加に貢献するような女の子の方が良い内申点もらえるんだろうな、っていう。だったらアイドル活動しなくても勉強の成績次第で良い内申点もらえそうなタイバニの世界の方が良いや。

極端な話、どんなに顔面偏差値が高くてもショボイ能力持ちはヒーローになれないが、そこそこの能力持ちならどんな不細工でもヒーローになれる。スカイハイやバーナビー・ブルックスJr.のような戦闘向きの能力でなくてもヒーローになれることは、折紙サイクロンの存在が証明してくれている。イワンのコンプレックスの一因は、自分の能力がエドワードのように戦闘向きでない(≒ヒーロー向きでない)点にある。

タイバニが取りこぼしたのは、顔面偏差値とまったく無関係な能力とそれを支える努力面においてのみ人間を評価する世界観によって、コンプレックスを刺激される視聴者なのではないだろうか。なぜなら顔面偏差値の低さはすぐに諦めがつくが、能力の低さ、努力の不足は目視で判断し辛いからだ。

「顔面偏差値必須の能力主義」という壁によってラブライブのフィクション性は高まるが、タイバニは「顔面偏差値不要の能力主義」という点でフィクション性が低くなる。

とってつけた言い訳のようだけど、タイバニの世界観にコンプレックスを刺激される人間は性別を問わない。ただし、タイバニの男性ヒーロー陣と同世代の男性の方が、同世代の女性よりもコンプレックスを感じやすい構造にアニメがなっているのではないか。つまり、視聴者にコンプレックスを感じる原因があるのではなく、タイバニの物語そのものが、視聴者にコンプレックスを抱かせるよう誘導するかのような構造を内包しているのではないか、という話。*10

タイバニは「努力する人間が成功するのは当然、努力しない人間が失敗するのも当然」って近代的な神話を再強化する物語なので、「あなたの人生がうまくいかないのは努力が足りないからです」という方向性でメッセージが解釈されると反感を買いやすい。反対に「あなたは充分頑張ってるけど、他の人よりちょっと顔面偏差値が足りないんです」と言われると、それならまあ仕方ないかな、と諦められる。

そんなところが、タイバニとラブライブのファン層の違いに現れているのではないかしらん。

*1:「抑圧された自己肯定感やプライドの復権」……簡単に言うと、「こんなに頑張ってるのに評価してもらえない、報われない」って感じてる人が、やっと自分の努力を認めてもらえた!って感じることです。承認欲求が満たされるっていうか。

*2:オッサン・おじさん世代……おそらく、虎徹さんみたいな30代後半~40代前半の、中間管理職の男性が一番のターゲット。思春期の子供はいてもいなくても良い。あるいは、アントニオみたいに独身で、仕事のやり方や方向性を模索してる男性。

*3:世代問わず、腐女子か否かも問わない

*4:首位陥落とはいえランキング上位に入ってるからそれなりに仕事も順調だし、14話の内容はほとんど恋愛の悩みが中心である。スカイハイが「不調」に見えるのはキング・オブ・ヒーローの座を維持できなくなったから「不調」なのであって、キング・オブ・ヒーローであり続けるスカイハイの状態こそがむしろ「異常」なのである。

*5:他のヒーローとの体格差で、どうしても成長期途中の高校生に見えてしまう。

*6:バニーちゃんってメンタル凍み豆腐だけどなんだかんだお家柄しっかりしてるし資産持ちだしハンサムだし頭も良いし物理的強いし仕事相手にもファン(主に女性)にもソツのない対応できてるし(虎徹さんを除く)、社会的に見ればスカイハイレベルの勝ち組だからね。しかも家族を悪党に殺された悲劇のヒーローというオマケつき

*7:これまた外見的にもマチズモの極致みたいな顔&体格でヒーローに転向した元モデル、物理的に強いしビジネス上手だし(一応そういうことになってる)アントレプレナー系でガンガン仕事してどんどん稼いでって才覚も実力もあるのにバニーちゃんより年下だからね、コイツ

*8:「ランキング最下位の僕は、ヒーローに向いてないんだ」じゃなくて、「やっぱり僕には、ヒーローなんて向いてないんだ。だってランキング最下位だし…」の違い。

*9:完全無欠の美しさよりも、不完全な美しさの方が高く評価される。

*10:そういう意味で、冒頭の「タイバニが受けないタイプの人」のイメージ像はミスリードだから書くべきではなかった